こんにちは薬剤師タラコママです
漢方薬に興味がある方であれば、一度は耳にしたことがあると思われる補中益気湯。補気剤の中で最も有名と言えるかもしれません。主な効能としては、体力が虚弱で元気がない方の体力改善が有名です。10種類の生薬から構成される補中益気湯。体力を増進する効能から、私の働いていた薬局でも本当にさまざまなシチュエーションで使われていました。その中でも印象に残っているものを9つご紹介します。
補中益気湯の構成生薬
補中益気湯は人参、白朮、黄耆、当帰、陳皮、大棗、柴胡、甘草、生姜、升麻の10種類から構成されています。補気剤の基礎と言える四君子湯(白朮or蒼朮、人参、茯苓、甘草、生姜、大棗)がベースになっています。補気作用がある黄耆を含むこと、補血作用のある当帰を含むこと、升提作用をもつ柴胡・升麻を含むことが特徴です。
補中益気湯のさまざまな使い道
食欲増進
補中益気湯の構成生薬の多くは健胃作用を持ちます。補中益気湯の名前の由来もここから来ていて、中(お腹、胃腸)を補うという意味を持ちます。食欲を増進させることで体力の増進をはかります。
風邪
消化機能が衰えると、虚弱体質となり風邪をひきやすくなります。補中益気湯を用いることで消化機能を整え体力増進し、風邪症状の改善をはかります。
花粉症の症状改善
そもそも東洋医学ではアレルギーという概念は存在しません。花粉症やその他のアレルギーの主訴となってくる鼻水、鼻詰まりは「水」の異常である水滞からくると考えられています。「水」がたまって「気」の流れをさまたげるため、「気」を動かそうとしてクシャミが出るのです。補中益気湯はカラダを元気にしてくれる漢方の代表です。症状がでにくい強い身体を作るという目的でこの方剤が選ばれます。胃腸の働きを促進して身体に「気」をめぐらせます。
不妊治療
体力をアップして身体を健康な状態に整え、妊娠・出産できる体質に導くために用いられます。当帰芍薬散や温経湯といった虚証の改善を目的とした方剤が選ばれることもありますが、胃腸虚弱な方の全身状態を改善させることが目的で補中益気湯が選ばれます。また男性不妊にも有効だと考えられていて、精子濃度や運動率の改善が認められることが知られています。
月経過多
日本では150ml以上の経血量がある状態が月経過多と考えられていますが、中国では月経量が多かったり月経期間が7日以上継続している状態を月経過多と呼ぶことが多いです。このような状態は東洋医学的に気虚の状態にあると考えられます。気虚の場合、胃腸も弱く、食欲不振や胃もたれをしやすい傾向があります。東洋医学でいう脾とは現代医学の脾臓血は違って、消化吸収、栄養代謝など胃腸機能全般を指す臓腑です。脾のエネルギー源の気が不足している気虚の状態では主に気や血の不足や(気血両虚)や、生成された血が脈管から外に漏れ出さないようにする統血という作用が失調するため月経過多が起こると考えられます。補中益気湯は気虚の状態を改善する補気剤であり、食欲増進作用もあります。消化機能を整え脾気虚の改善を目標に、月経過多の改善に補中益気湯が使われることがあります。
性器不正出血
先ほどの月経過多の説明と重なりますが、このような状態は東洋医学的に気虚の状態にあると考えられます。気虚の場合、胃腸も弱く、食欲不振や胃もたれをしやすい傾向があります。東洋医学でいう脾とは現代医学の脾臓血は違って、消化吸収、栄養代謝など胃腸機能全般を指す臓腑です。脾のエネルギー源の気が不足している気虚の状態では主に気や血の不足や(気血両虚)や、生成された血が脈管から外に漏れ出さないようにする統血という作用が失調します。そうすると不正出血や皮下出血が起こると考えられます。補中益気湯は気虚の状態を改善する補気剤であり、食欲増進作用もあります。消化機能を整え脾気虚の改善を目標に、性器不正出血の改善に補中益気湯が使われることがあります。
体質改善を考えられている方にはこちらのハーブティーもおすすめです。
夏バテ
日本の夏は気温・湿度ともに高いため、体温を一定に保つために必要以上のエネルギーを消費します。冷房が効いたところから暑い屋外に出るなど5℃以上の気温差がある場合、身体はかなりのストレスを受けることになります。このような状態が続くと自律神経が乱れたり、体温のコントロールがうまくできなくなります。体温のコントロールがうまくできないと熱をうまく下げることができないので水分代謝がうまくいかず、胃腸の働きが弱まり食欲も低下し倦怠感が現れます。このように夏バテは自律神経のバランスの乱れや、消化機能の低下によりひき起こされます。補中益気湯は主に、日頃から胃腸の弱い人が冷たいものの摂りすぎで胃腸機能低下により食欲不振を引き起こし、夏バテになった場合に使われます。同じ夏バテでも、炎天下での作業で脱水も気になる場合は清暑益気湯が使われます。
涼しいところにいて脱水の心配がなければ補中益気湯、脱水予防もしたい場合は清暑益気湯が使われることが多いよ
子宮下垂
子宮下垂とは、子宮が正常の位置より下がった状態のことを言います。子宮下垂が起こると膣から子宮の一部あるいは全部が脱出した子宮脱が起こることもあります。子宮下垂や子宮脱は、骨盤底筋群の筋力低下や各靭帯組織の弛緩延長が原因と考えられているため、ほとんどの治療法が手術療法になりますが、保存療法として補中益気湯が使われることもあります。これは補中益気湯に含まれる柴胡と升麻が升提作用をもつためです。升提作用とは「気」の低下によって下に落っこちた状態を引き上げる作用のことです。これによって、下がった子宮の位置を元にもどすことを目的に用いられます。
抗がん剤との併用
抗がん剤の治療中は、体力の低下や、吐き気を代表とする強い副作用など辛い時期がある方もおられれます。そのため抗がん剤の効き目をサポートするために、補中益気湯が処方されることも多くありました。体力アップを目的に補中益気湯が単独で処方されることもありましたが、免疫力アップの目的で、半枝連、白花蛇舌草などが加えられることが多いです。やはり自分の体力がしっかりとある場合、副作用に対する抵抗力も強いなという印象でした。どのような病気の治療であっても、まずは体力が資本だと思います。
まとめ
今回は補中益気湯による体力の増進と補気作用で改善が期待できる症状を9つご紹介しました。ドラッグストアでも購入することができる補中益気湯。自分に当てはまるかもと思われた方は、薬剤師と相談して店舗やオンラインで購入することもできますし、かかりつけ医に相談して処方してもらう方法もあります。今回ご紹介した補中益気湯の処方の症例はほんの一部です。大切なことは、補中益気湯にいろいろな病気を治す力があるわけではなく、体力を増進することで自分の力で病気を治す力をつけるという点です。この点をしっかり理解していただいて、最後まで読んでくださったみなさまの毎日に少しでもお役に立てることを願っています。
東洋医学の学びは奥深く、西洋医学とうまくバランスをとりながら取り入れることで自分の免疫を強くしたり、治療効果をアップさせることを患者様の症例から日々教えていただきました。最後まで読んで下さった薬剤師の方には、投薬中に患者様から体調に関する相談を受けたときなどのアドバイスに役立てていただきたいです。保険診療の範囲内で使うことのできる漢方薬もたくさんあります。このような処方を得意とするドクターの元で調剤させていただくことは本当に貴重な経験でした。西洋医学と東洋医学のどちらも取り扱っている薬局はたくさんあります。今までとは違った分野の調剤ができる薬局で勤務することはスキルアップにつながります。私自身も東洋医学の外来もある総合病院の門前薬局で働いたことで勉強する機会がたくさんありましたし、漢方生薬認定薬剤師の資格を取ることもできました。生活環境や学びたいことも変わった今、今まで自分が経験できなかったことができる薬局を探している最中です。リスキリングを目指して転職も視野に入れたい方はぜひ下記から登録してみてください。代わり映えのしない薬剤師の仕事ですが、新しい知識をたくさん入れてお互いに楽しんでいきましょう。
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