不妊治療 漢方薬剤師のおはなし

タラコママ
タラコママ

こんにちは漢方薬剤師タラコママです

現在1歳の娘を絶賛子育て中の私ですが、妊娠しにくかった期間もありレディースクリニックに通った時期もありました。それと同時に漢方薬のクリニックにも通っていました。漢方で体質を改善しながらその様子をレディースクリニックでサポートしてもらったという感じです。自身が漢方認定薬剤師であり、もしも不妊治療が必要な状況になったらまずは東洋医学でなんとかしてみたいという気持ちがあり、実際に実践してみたというわけです。不妊の原因や治療の方法などは人により様々ですが、こんな方法もあるんだと一つの選択肢として知ってもらえると嬉しいです。

不妊症の定義

「不妊」とは、妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、一定期間妊娠しないものを言います。この「一定期間」ですが「1年というのが一般的である」と定義しています。

タラコママ
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期間については1年から3年まで諸説あるけれど平成27年に1年に短縮されたようだよ

不妊症の原因

不妊は女性が原因になることも、男性が原因になることもあります。

女性側の原因

 ・排卵障害

 ・卵管因子

 ・子宮因子

 ・子宮内膜症

男性側の原因

 ・精子因子

 ・性交障害

男女共に起こりうる原因

 ・原因不明

女性側が原因であることが45%、男性側が原因であることが35%と、決して女性側に原因が多いとは言えません。ある調査によると原因不明が全体の20%をしめるというデータもあります。このようにハッキリとした原因がわからないけれどなかなか妊娠しないということも多くあることなのです。

不妊症の一番の原因は「冷え」

不妊症の人の体質を調べた時に、一番多く自覚症状として上がるのが冷えであることがわかっています。肥満や瘀血、胃腸が弱いなど他にも自覚症状は上がりますが圧倒的に多いのが「冷え」なのです。冷えは身体本来の機能を低下させてしまいます。特に下半身が冷えると骨盤内の血流が悪くなり、子宮や卵巣の機能が低下してしまいます。それが原因で卵の発育が遅れたり、子宮内膜が肥厚しなかったり、子宮頚菅の粘液分泌が低下したりするのです。実際に人工授精や体外受精でも妊娠しなかった人が漢方薬などで冷えを改善するように意識したところ自然妊娠をしたというのは聞くはなしでした。

冷えに効く漢方

冷えに効く漢方はたくさんあります。その中で体質に合ったものを処方してもらうためにはやはり漢方薬の専門医がいるクリニックなどで処方してもらうのが一番効果的です。たくさんある漢方薬の中でも女性の冷えに対して桂枝茯苓丸、当帰芍薬散はやはりよく使われる印象です。冷えに限らず女性の不定愁訴には本当に用いられることの多い方剤です。本当に女性の味方になる漢方薬です。

タラコママ
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タラコママの働いていた薬局ではこの2つを調剤しない日はありませんでした。

また当帰芍薬散の適応になるよりも、もっと冷えが強い場合は当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)が使われることもあります。これに含まれる呉茱萸は苦味があるので煎じ薬の場合は抜くこともありました。こういった調整ができるのが煎じ薬の強みです。ドラッグストアなどでは丸剤タイプも売られているので呉茱萸が入っていても飲みやすいです。生理痛・頭痛・腰痛が冷えで悪化する場合や、クーラーで下腹部が痛くなる、冬の就寝時、電気毛布や靴下が必要という方はこの方剤の適応となる場合があります。

全身の冷え

全身が冷えている時は冬の寒さが苦手だったり、冷房に弱かったりします。この場合は深部の体温が低下しているので熱産生が低下しています。その時に効き目のある生薬は「乾姜」といって生姜を蒸してから乾燥させたものになります。漢方薬では生姜と乾姜はどちらも使われますが、乾姜の方がより温める作用が強いです。乾姜を含む方剤はたくさんありますが、冷えに対して使われることが多いのは大建中湯、人参湯、附子理中湯などです。また乾姜の場合、漢方薬ではなくハーブティーでも手軽に取り入れることができます。冷たいものをの飲食を避けたり、衣類などで寒さを調整することも十分に冷えに対する改善策となります。


局所の冷え

局所が冷えていると自覚症状として手足や腹部の冷えを感じることがあります。この場合は深部ではなく体表温度が低下していて血流が低下しています。その時に効き目のある生薬として当帰があげられます。当帰は子宮や卵巣の血流を改善したり、婦人科領域でよく使われる生薬になります。当帰を含む方剤もたくさんありますが、冷えに使うものの中からいくつか紹介すると、当帰芍薬散当帰建中湯 、当帰四逆加呉茱萸生姜湯四物湯などがあります。上の乾姜と違い当帰は漢方薬として処方してもらったり薬局で購入して方剤として服用するのが一般的です。

不妊症によるストレス

不妊治療を継続している女性は、肉体的にも精神的にもかなりの負担を感じていると思われます。それだけでなく金銭面でも負担がかかってくるのが現状で、知らず知らずのうちにストレスがたまってしまうのも無理はありません。ストレスには血管を収縮させる作用があるため、それにより血流が低下してしまい、子宮内膜が分泌器にも分厚くならない場合もあります。ストレスで妊娠しにくいというのは気のせいではなく、実際に起こりうることです。

ストレスに対して使われる漢方方剤もたくさんあります。四逆散加味逍遙散は特によく使われる印象です。ハーブティーとして取り入れるならば蘇葉(そよう)もおすすめです。味も香りも爽やかでとてもスッキリします。

まとめ

私自身が妊活を始めたのは34歳の時でした。なかなか妊娠しなかった場合に色々な治療を試すには少しでも早い方がいいと考え、すぐにブライダルチェックを受けました。そのおかげで自分自身がどんな治療を受けることが適切なのか方向性を決めやすかったと思います。私の場合は東洋医学の治療をメインに漢方薬で体質改善し、レディースクリニックの定期検査でサポートしてもらい、結果的に妊娠出産することができました。

レディースクリニックなどでのホルモン治療や人工授精ももちろん必要な時もあると思います。しかしみんながそのやり方で成功できるわけではありません。

そして不妊の原因は女性側に多いとは言えません。なので、不妊治療を考える際は女性だけでなく男性も自分ごとだと捉えて一緒に検査をおすすめします。私も夫と一緒に初回の検査へ行きました。その後のスケジュールなども組みやすく、初めから一緒に行ってよかったです。

体質改善の漢方治療も同じく、女性だけでなく男性にも効果的な方法です。お酒が好きな方も時々はお酒をお休みをして眠る前の温かい漢方茶を。夜は早く眠って朝活をする際にはあったかいハーブティーを生活にとり入れてみてはいかがですか。

漢方治療の大原則は体質改善が第一です。「不妊症を治す」ではなく、「身体が元気な状態になったら自然に妊娠した」というのが漢方治療として目指していくところです。

ここで紹介している漢方薬はほんの一部です。取り入れやすそうなものをドラッグストアで薬剤師に相談しながら試してみるもよし、婦人科や漢方クリニックで医師に処方してもらうもよしです。妊活のストレスから少し解放されて、まずは体質改善のために日々の生活に漢方を取り入れてみてはいかがでしょうか。いきなり漢方薬はハードルが高い方には、ハーブティーや漢方茶もおすすめです。

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