こんにちは漢方薬剤師タラコママです。
漢方薬剤師タラコママのページでは、漢方薬やハーブを自身の生活に取り入れる方法だけでなく、薬剤師の方が投薬時に患者さんへワンポイントアドバイスとして伝えられるような内容を盛り込んでいます。ぜひ楽しく読んでいただいてご自身の生活に取り入れていただいたり、お仕事に活かせていただけると幸いです。
1歳の娘に花粉症の症状
1歳10ヶ月の娘。生まれてから三度目の春を向かえようとしています。冬には雪が積もり外出できない期間があったため、さてようやく暖かくなったとたくさん公園に出掛けていたら、なんだか目が痒い。夜になって、鼻が苦しく眠れない。花粉の飛散量が多そうな日は、お外遊びをやめようと思っていた矢先に、娘も鼻水がたくさん出てくるようになってしまいました。小児科で抗アレルギー薬を処方してもらうのも一つですが、ひどくならないようであれば、普段の食事などで症状緩和できたら嬉しいところです。
離乳食にも取り入れることができるよ。
今回は、花粉症に効果がある食材7選をご紹介したいと思います。数多くある花粉症に効果がある食材の中から、手軽に取り入れやすいものに絞ってピックアップしたので、ぜひ試してみてください。
花粉症の症状を緩和するには
そもそも東洋医学ではアレルギーという概念は存在しません。しかし、花粉症やその他のアレルギーの主訴となってくる鼻水、鼻詰まりは「水」の異常である水滞からくると考えられています。「水」がたまって「気」の流れをさまたげるため、「気」を動かそうとしてクシャミが出るのです。
「水」と「気」の代謝異常からくるのが花粉症の症状であれば、その流れをスムーズにすることで花粉症の症状が改善できると考えられます。その役割を持った食材を7つご紹介します。
花粉症の症状を和らげる食材
「水」の代謝をスムーズにする食材
海苔
海苔には、体の熱を冷まし水の代謝を促してむくみを解消します。また、海苔には「ポルフィラン」という物質が含まれていて、アレルギーの症状を抑えると言われています。これはわかめや昆布など他の海藻には含まれない海苔特有の食物繊維の一種です。「水」の代謝と、アレルギー症状を緩和してくれる食物繊維のダブルの効果で花粉症の症状に効果を発揮します。
咳や痰にも効果があるよ
焼き海苔は離乳食中期(7〜8ヶ月ごろ)、味付けのりは離乳食完了期(1歳〜1歳6か月ごろ)から食べさせ始めることができます。おかゆにのせて柔らかくなると食べやすいので、離乳食にも取り入れやすい食材です。
わかめ
わかめには食物繊維、ビタミン、ミネラルなど豊富な栄養分が含まれています。また、青魚に含まれていることで有名なEPA(エイコサペンタエン酸)という不飽和脂肪酸も含まれています。EPAは不要になったコレステロールを体外に排出する作用がありますが、近年の研究で花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を改善させる働きがあることもわかってきました。
わかめは離乳食中期(7〜8ヶ月ごろ)から食べさせ始めることができます。柔らかく茹で、細かく切ってからあげるようにしてください。茎わかめは茹でても柔らかくならないので、赤ちゃんにあげるのは難しいと思われます。
「気」を整える食材
まいたけ
まいたけには五臓を補う作用があります。「気」を補い、「血」「水」を生み出します。
アレルギー症状の原因となるヒスタミンですが、マイタケに含まれる成分が、ヒスタミンを放出するマスト細胞の働きを抑えてくれることもわかっています。
炒め物、煮物どちらでも美味しくいただけるので取り入れやすい食材です。離乳食後期(9〜11ヶ月ごろ)から食べられるので、細かく刻んでお肉と一緒にハンバーグの具にしたり、スープにしてあげるのもいいですね。まいたけに限らずキノコ類はアレルギー体質を改善作用があると言われています。
エリンギもおすすめだよ
花粉症に症状を和らげるハーブ
「水」の代謝をスムーズにするハーブ
陳皮(チンピ)
陳皮(チンピ)とは、完熟したみかんの皮を乾燥させたものです。みかんの皮に含まれる「ノビレチン」にはアレルギー症状の原因となるヒスタミンを抑える作用があります。みかんの実にはノビレチンは含まれないので、みかんを食べてもノビレチンは摂ることができません。みかんの皮をそのまま食べることはなかなか難しいです。そんな時は、陳皮をお茶でいただくのがおすすめです。陳皮は食材の扱いになるのでお店で買うことができますが生薬としても取り扱われるため、漢方薬局では煎じ薬として調剤されることもあります。とても爽やかな良い香りがしますよ。
水の代謝を改善する作用がありますが、気のめぐりも良くするので、東洋医学では気薬に分類されています。
大棗(タイソウ)
大棗(タイソウ)とは、棗(ナツメ)の熟した実を乾燥させたものです。ナツメに含まれるフルクトピラノサイドは糖の一種で、アレルギーを引き起こすIgE抗体を抑制する作用があると言われています。大棗は、食材の扱いになるのでお店で買うことができますが、生薬としても取り扱われるため、漢方薬局では煎じ薬として調剤されることもあります。
水の代謝を改善する作用がありますが、気のめぐりも良くするので、東洋医学では気薬に分類されています。
花粉症に効果のある漢方薬で紹介した、葛根湯加川芎辛夷や補中益気湯にも含まれているよ
「気」の代謝をスムーズにするハーブ
ペパーミント
爽やかでスッとした香りが特徴のミントは、気のめぐりをよくする作用があります。ペパーミントに含まれるミントポリフェノールにはアレルギー症状を和らげてくれる作用があります。ミントポリフェノールは水に溶けるので、お茶でいただくのがおすすめです。また近年の研究で、これまでは香りを抽出した後に捨てられていた葉っぱから「ルテオリン-7-ルチノサイド」というポリフェノールの一種が発見され、鼻粘膜の腫れを抑制しアレルギー症状の緩和することがわかりました。このミントポリフェノールは、ペパーミント以外のミント(スペアミントなど)にはほとんど含まれていません。
ローズヒップ
ローズヒップは、ビタミンCの爆弾と言われるほど豊富なビタミンを含んでいるため、免疫力をアップしてくれます。また、アレルギ症状の原因となるヒスタミンを抑制する働きがあります。また、気のめぐりをよくする作用も持っているためダブルの効果で花粉症の症状に効果を発揮します。
普段飲んでいるお茶に、こういったハーブをちょい足しするのもお手軽ですし、花粉症の症状が辛い時におすすめなブレンドティーもおすすめです。味が美味しいなーと感じる時は、それが今の体にピッタリ合っていると言えます。色々な種類を試して自分にピッタリなブレンドティーを見つけてください。
アカバナー漢方リラクゼーションでは、漢方薬剤師が厳選したハーブを使ったオリジナルブレンドをたくさんご用意しています。ぜひチェックしてみてください。
まとめ
近年花粉の量も増え、赤ちゃんでも花粉症を発症するケースが増えてきました。赤ちゃんや子供でも服用できる漢方もありますが、薬で抑える前に体質改善ができるといいですよね。今回はアレルギー対策、体質改善の効果が期待できる食材やハーブをご紹介しました。昔は、食材も漢方薬もどちらも「食べ物」として扱われ、区別はありませんでした。口から入るものがいかに大切かということがわかります。
自身の生活に取り入れることはもちろん、服薬指導の際に症状に合わせてこういったワンポイントアドバイスがあると患者様にとても喜ばれます。ぜひ実践してみてください。
漢方薬の勉強は奥深くとても楽しいものです。12年間その調剤に携わってきましたが、まだまだ知らないことがたくさんです。ライフイベントによって生活環境が変化し、やむなく退社した薬局でしたがいずれ現場復帰するときは、またこんな薬局に出会いたいです。これを読んでくださった薬剤師の方はぜひ、自分の学んでみたい専門分野のある病院や、薬局を探してみてください。
また、エステや美容関係のお仕事をされている方にも東洋医学の考え方はとても役に立つと思います。リスキリングをして楽しくイキイキと働いていきましょう。