こんにちは薬剤師タラコママです
気血水(きけつすい)という言葉を聞いたことはありますか?
漢方薬の勉強を始めると、最初に耳にする言葉だと思います。「気血水」とは生体を維持する三要素のことです。「気」は命のエネルギー。「血」は体の中の赤い液体で血液とほぼ同じ意味です。「水」は無色の液体を指します。
この気血水はお互いに影響しあっていて、それぞれ少なくても多くてもダメ。過不足なく循環している時、身体は健康な状態を保つことができます。
「水」の役割
今回は気血水の中の「水」についておはなしします。
水の読み方は「みず」ではなく「すい」だよ
「水」とは汗や唾液、リンパ液などの「血」意外の無色の体液のことを指します。身体中を巡って皮膚や身体を潤し余分な老廃物を排出する作用や、身体のほてりをおさめ興奮を鎮めリラックスさせる作用もあります。
「水」の異常
「水」の流れが滞り、身体の一定の部分に「水」が停滞している状態を水毒や水滞と言います。「水」が停滞すると気血のめぐりを妨げます。
日本では水道の整備が整っていていつでも好きな時に水が飲めることや高温多湿な気候が要因となって、体内に水がたまりやすい傾向がみられます。逆に水が足りていないという症状は日本ではあまりみられません。
水滞の症状
「水」が身体に停滞することで様々な症状を引き起こします。天気が悪い日に頭痛がするのも水滞が原因であることがあります。生理時の頭痛やめまい、冷え、むくみなど不定愁訴で片づけられてしまいそうな不調も水滞が原因になっていることが多くあります。二日酔いも水滞の一種と考えられています。
水滞を改善する方法
水滞とは「水」が滞っている状態なので流れをスムーズにすることで症状が改善します。この時使われる漢方薬のことを利水剤と呼びます。利水剤の代表的なものには五苓散、防已黄耆湯、当帰芍薬散などがあります。
水滞のタイプと治療薬
水滞は大きく分けて4つのタイプで考えることができます。
・全身に水が停滞している全身型
・呼吸器系の水毒である胸内型
・顔面、関節に水が停滞する皮膚・関節型
・胃から腸にかけての水毒である心下型
それぞれのタイプの症状について見ていきます
全身型の水滞
全身型の水滞で引き起こされる症状は、全身の冷え、むくみ、めまいなど比較的全身にかかわるものです。このタイプには五苓散、真武湯、八味地黄丸などが使われます。五苓散は虚実を考えなくても使えるので幅広く使えます。
胸内型の水滞
胸内型の水滞では、みぞおちのあたりのつかえ感を感じることがあります。また、動悸や息切れを感じたり気管支喘息の要因であることも。このタイプには木防已湯が使いやすいです。
皮膚・関節型
皮膚・関節型の部分に水が滞ることで、関節の腫れや痛みを伴うことがあります。このタイプには防已黄耆湯が使いやすいです。
心下型
心下型の水滞では、吐き気や胸焼け、胃の膨満感を感じることがあります。このタイプには小半夏加茯苓湯が使いやすいです。
まとめ
現代医学的には異常がないし病名もつかないけれど、なんとなく不調でつらい。このような不定愁訴こそ漢方薬の力が発揮されます。未病の段階で自分の身体に向き合い、身体のバランスを正常に戻して元気な毎日を過ごしましょう。
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